コラム

COLUMN幹細胞治療のリスクや副作用について詳しく解説

ご自身の体から採取した幹細胞を培養して点滴などによって投与する「幹細胞培養点滴」や、臍帯血由来の幹細胞や子どもの乳歯歯髄由来の幹細胞を培養する際にえられる培養上清液によって行われる「幹細胞培養上清液点滴」などの治療に関する人気が高まってきていますが、治療によって得られる効果が高い反面、副作用やリスクについて気になるという方も多いのではないでしょうか。
今回は幹細胞治療に関するリスクを中心に、治療について詳しく解説いたします。

幹細胞治療とは

今現在、一般的に幹細胞治療と呼ばれている治療法には大きく分けて2つの種類があります。
一つは治療を受ける本人から採取した幹細胞を培養して、幹細胞自体を点滴などで投与する方法。
もう一つは子どもの乳歯歯髄由来の幹細胞や、出産時にえられる臍帯血由来の幹細胞などを培養し、その際に得られる培養液から幹細胞自体は取り除いた「幹細胞培養上清液」を投与する方法です。
この2つは両方とも「幹細胞」を扱うため幹細胞治療という事ができますが、期待できる効果やリスクなどそれぞれ大きく異なりますので、まずは違いについて解説します。

自分自身の幹細胞を使用する治療法

一つ目の方法である、自身の幹細胞を培養して「幹細胞」そのものを投与する治療法は、まさに再生医療として注目されている治療です。

この治療ではまず初めに治療を受ける方の細胞を採取する必要があり、美容や健康増進を目的とした場合では殆どがお腹などから脂肪細胞の採取を行う事で行われます。
なぜ脂肪由来かというと、脂肪細胞の中には間葉系幹細胞という神経や筋肉、骨など様々な細胞に分化が可能な多分化能をもった幹細胞が多く含まれており、美容や健康を目的とした治療に適している点や、治療に必要な数の幹細胞を揃える事が比較的容易であるためです。

目的が異なるものでは例えば白血病などによって正常な血液が作れない状態の治癒を目的に、骨髄から採取した造血幹細胞を培養して投与する治療法などがあります。

細胞を採取した後は専門の機関によって幹細胞の培養を行い、一定の個数まで幹細胞が増殖したらそれを点滴などによって投与するものとなります。

培養した幹細胞を投与する治療で期待できる効果

培養した幹細胞を投与すると、体内に入った幹細胞は血管を通して全身にいきわたり、特に修復が必要な組織に集まって治療効果が発揮されます。
幹細胞は自分自身の複製を作り出す「自己複製能」と、必要な細胞の種類に変化する「分化能」を持ち合わせた細胞ですので、損傷した組織に集まって新しい細胞を作る事で、組織の損傷が修復されて健康体へと導かれます。

体外で培養してから投与する意味

幹細胞による治療を行う際には脂肪細胞などから幹細胞を採取する事からも分かるように、幹細胞はもともと体内にも沢山存在しており、自然な形で増殖や分化も行われています。
ではなぜ、わざわざ一度細胞を採取し、体外で培養してから投与を行うのかというと、その理由についてはそもそも体内にある幹細胞は通常は大半が活動休止状態にいるという事や、加齢に応じて体内の幹細胞の数が大きく減少していくという点にあります。

幹細胞が細胞分裂や分化といった働きを行うためには周囲からの刺激によってスイッチが入る事が必要で、スイッチが入ればある程度無限に増殖を繰り返す事が出来る一方、スイッチが入らなければ活動休止の状態が続くという性質があります。
そのため、普通に生活をしているだけでは幹細胞が活発に働く事は無く、数を増やすためには一度体外で培養してから戻すという方法が効果的であるといえます。

幹細胞の数は生まれた時には60億個ほどあり、それが20歳で10億個以上、60歳には1.5億個程度と大幅に減少していきます。
これは外的要因やストレスなど様々な要因によって加齢とともに細胞自体がダメージを受けて減少していくためで、幹細胞を培養して投与する治療は体内における幹細胞の数そのものを回復させる事が出来るため、エイジングケア治療として非常に効果的なのです。

尚、一度の治療で投与される幹細胞の数は治療を行う医院や採取する細胞の数、そして培養する期間などによっても異なりますが、数週間培養して1億個程度の細胞を投与するといった方法で行われる事が多く、特に元々体内の幹細胞数が少ない高齢の方であればその効果を大きく実感しやすいと考えられます。

自分以外の幹細胞から得られた「幹細胞培養上清液」を用いた治療法

自分自身の幹細胞ではなく、出産時に得られる「臍帯血」や、子どもの歯が生え変わる際の「乳歯歯髄」などから得られた幹細胞を培養した幹細胞培養液の「上清液(上澄み液)」を使用する治療が2つ目の幹細胞治療です。

「幹細胞」と名前に入っていますが、あくまでも使用されるのは培養した際の「培養液」側であり、培養によって得られた幹細胞そのものは分離が行われるため、投与する薬剤中に含まれる事はありません。
細胞そのものが入っていないため、他者の細胞由来の成分であっても拒否反応などがおこる心配が無く安全に行える治療です。

幹細胞培養上清液の効果

幹細胞が培養によって増殖する際には、新しい細胞だけではなく、周囲の細胞の活動を促進するサイトカインや、細胞間の情報伝達物質であるエクソソームなどが豊富に放出される事が分かっています。
幹細胞培養上清液はこうした培養液中に放出された有用な成分を利用して美容効果や健康増進効果を得る治療法で、幹細胞そのものによる組織の修復効果は無くても、体内の細胞を活性化させる事で体内にある幹細胞やその他さまざまな細胞の代謝を促進し、エイジングケアの効果を期待する事ができます。

エクソソームの働きによる細胞の若返り効果

幹細胞培養上清液を用いた治療で特に注目を集めているものが「エクソソーム」による効果です。
エクソソームは細胞間の情報伝達物質と考えられている非常に小さなカプセルで、中には細胞で作られたmRNAや、細胞の活動に必要な材料となる物質などが含まれています。
エクソソーム自体は作られた細胞の情報を周囲の細胞に伝えるためのものですので、どの細胞に作られたのかによって期待できる効果の内容が異なります。

エクソソームそのものは体内でも沢山作られていますが、重要なのは幹細胞培養上清液を用いた治療は、主に臍帯血や乳歯歯髄の幹細胞を由来としたものが使用されているという点 まだ細胞の活動そのものが活発な若い年令の「細胞」から作られたものであるため、受け取った細胞の活動を活性化する効果や、細胞の寿命ともいわれるテロメアを引き延ばす効果が得られるとされています。

幹細胞培養上清液中には細胞の活動を活発にする成長因子などサイトカインも豊富に含まれているため、これによる美容効果、健康増進効果も高いものではありますが、特にエクソソームによる効果が注目を浴びている事から「エクソソーム点滴」などと呼ばれるケースも多くあり、上清液中に含まれるエクソソームの濃度が高いという事が重要視されている事もあります。

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幹細胞治療それぞれのリスク

2つの幹細胞治療について、それぞれのリスクや副作用の可能性を解説します。

幹細胞そのものの培養と投与を行う治療のリスクや副作用

幹細胞を培養して体内に戻す治療については、基本的に自分自身の細胞を増やして追加するという事になりますので、特に心配するリスクは無いといわれています。
実際に治療を行ったケースで特に副作用が生じたという事もありませんので、安心して受けやすい治療といえるでしょう。

強いてリスクや副作用として挙げるとすれば、投与された幹細胞の刺激によって治療直後に関節痛のような痛みを多少感じる可能性がある点や、細胞を採取した箇所の切開部分が傷跡として少し残る可能性がある点です。
また、投与を行う際には点滴など針を用いた方法で行うため、内出血や血管痛といった副作用が生じる可能性はあります。

ただし、これらの副作用はどれも数日で解消されるもので、切開部位の傷跡も時間経過とともに薄れていくため特に心配する必要はないでしょう。

治療の際の感染症リスクなどはどの治療でもついてまわりますが、幹細胞そのものを使用した治療を行う際には一定の施設基準などが求められるため、その他の美容整形術を受けるよりも安全度が高いともいえます。

幹細胞培養上清液治療のリスクや副作用

幹細胞培養上清液を使用した治療では、自分自身の幹細胞由来の成分では無い事から心配される方もいらっしゃいますが、投与される薬液中に細胞そのものは含まれないため、こちらも特に副作用の心配はありません。

ただし、注意するべき点が2点あります。

薬剤によって期待できる効果が異なるリスク

幹細胞培養上清液の薬剤は様々なメーカーから提供が行われており、培養に使用する幹細胞の内容や培養方法などによって期待できる治療効果が異なっています。
同じ「ヒト幹細胞培養上清液」の点滴であっても、薬剤の品質について定められた基準が無いため治療によって期待できる効果はそれぞれ異なっており、低品質の薬剤を用いた治療であれば、例え価格が安くても効果が全く期待できないといった可能性もあります。

また、薬剤の取り扱いについてもクリニックによって差があり、超低温で薬剤を保管するなど効果を挙げるための方法を徹底している所もあれば、他の通常の薬品などと同程度の取り扱いを行う所もあります。
幹細胞培養上清液は非常に繊細な取り扱いが必要となるため、導入している薬剤の品質や管理方法が徹底されている医院を選択しないと、そもそも効果が殆ど期待できない可能性があるという点が一つ目のリスクです。

過剰投与の際のリスク

幹細胞培養上清液中に含まれるサイトカインが細胞に与える影響はとても強いため、投与量が多すぎるとトラブルに繋がってしまう可能性があります。
通常推奨されているような投与量であれば問題が起こる事はありませんが、とにかく一度の治療で大きな効果を期待したいなどの目的で過剰な量の薬剤を投与してしまうと、かえってマイナスになってしまう事があるのです。
治療を受ける際は医師とよく相談し、トラブルが生じない分量での治療を受けるようにしましょう。

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低リスクで安心の治療を受けるためには医院選びが大切

幹細胞の培養と投与を行う治療と幹細胞培養上清液を使用した治療のどちらについても、基本的には非常にリスクが少なく安全で、かつ高いエイジングケア効果を得られる治療といえますが、なるべく副作用を抑え、より良い結果につなげるためにはやはり医院選びが非常に大切です。
再生医療の分野についてしっかりとした知識を持った医師とじっくり相談をして、目的にあった最適な治療を行えば幹細胞治療の高い効果を実感できますので、まずは信頼できる医師・医院を探してみてください。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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