コラム

COLUMN幹細胞培養上清液と幹細胞培養液の違いは何か詳しく解説

近年非常に人気が高まっている美容商材や治療に「幹細胞」を用いたものがありますが、似たような言葉も多くそれぞれがどのように異なっているのかが良く分からないという方も多いのではないでしょうか。
美容治療でよく使用される「幹細胞培養上清液」をはじめ、それぞれがどのようなものかについて詳しく解説いたします。

幹細胞とは何か

幹細胞という言葉を最近になってよく聞くようになってきましたが、そもそも幹細胞とは何でしょうか。
幹細胞の種類や定義も様々ですが、今回は特に医療分野などで用いられる、多分化能幹細胞について解説を行います。

多分化能幹細胞とは「自己複製能」と「多分化能」を持ち合わせた細胞の事で、具体的には下記のような性質がある細胞です。

自己複製能は「細胞分裂で増える能力」

私たち人間は多数の細胞で構成されていますが、その細胞は日々細胞分裂によって新しい細胞が作られ、古くなってダメージを受けた細胞は逆に破棄されるといったサイクルで健康な細胞への入れ替わりが適宜行われています。

こうした細胞の入れ替わりをターンオーバーと言いますが、この「細胞分裂で増える能力」こそが幹細胞の持つ「自己複製能」です。

細胞には様々な種類があり、その中には細胞分裂が出来るものも出来ないものもあります。
細胞分裂が出来ない細胞としては例えば皮膚(角質)の細胞があり、皮膚は基底層という部分にある細胞で新しいものが作られると、作られた細胞が更に細胞分裂で増えるという事はなく、次々と基底層で作られる新しい皮膚の細胞によって押し上げられていくのみで、最終的には垢となって剥がれ落ちていきます。

多分化能は「細胞の性質を変えられる能力」

人間の細胞は約37兆個とも言われていますが、その細胞はそれぞれに異なった役割を持っていて、筋肉の細胞が神経になったりしないように、違う細胞の役割を果たす事はできません。

しかし、多分化能幹細胞はこれに当てはまらず、細胞の性質を変化させる「多分化能」によって、必要とされている細胞に成る事ができます。

少しこれを分かりやすくするなら、多分化能幹細胞は「卵」で、筋肉の細胞が「ゆで卵」、そして神経の細胞が「目玉焼き」のようなイメージで、ゆで卵を目玉焼きに変える事はできませんが、材料である卵ならゆで卵でも目玉焼きでも作れるようなイメージです。
このように細胞の性質を変える事を「分化」といいます。

ただし、細胞の性質を変えられるといってもそこには制限があり、分化できる範囲によって多分化能幹細胞もいくつかの種類に分けられています。
中でもよく利用されるものが「間葉系幹細胞」と呼ばれるもので、骨や筋肉、神経や脂肪といった組織になる事ができるものです。

どの細胞にでも分化できる「多能性幹細胞」とは

幹細胞が注目を浴びるようになった要因の一つに、iPS細胞の研究がノーベル賞を受賞した事などで大幅に研究が進むようになってきたという点があげられますが、このiPS細胞は「多能性幹細胞」というものに分類される幹細胞です。

前述の「多分化能幹細胞」と何が違うのかというと、多能性幹細胞は分化できる細胞が限定されておらず、血液や骨、皮膚や脳といったあらゆる細胞になる事ができる可能性を持っているという点です。

人の体は受精卵が細胞分裂していく事で作られていくものですが、受精卵の頃には当然ながら細胞に決められた役割は無く、一定の個数に分裂するまでは細胞が「どの細胞にでも変化できる」状態で増殖していきます。
ある程度細胞の数が増えてくるとそれぞれの細胞が役割をもって機能が限定されていくわけですが、この「何にでもなれる細胞」が多能性幹細胞です。

同じ多能性幹細胞に「ES細胞」がありますが、これはそのまま受精卵を培養していく過程で採取した細胞であるため、倫理的な問題について議論が行われているものでした。
そんな中で登場したiPS細胞は、受精卵ではなく通常の細胞に特定の遺伝子などを組み入れる事で多能性幹細胞に変化させる事ができるという発見によるもので、倫理観の問題なく幹細胞を使用した研究が行えるようになったという点などで高い評価を受けたものとなっています。

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幹細胞を用いた治療も増えている

幹細胞が持つ「自己複製能」と「多分化能」を利用する事で、体の機能を取り戻すという治療方法が「再生医療」と呼ばれるものです。
再生医療はすでに様々な治療で利用されるようになっており、例えば白血病などによって正常な血液が作られなくなった患者に対し、骨髄から採取した造血幹細胞を移植する事で治癒を行うなど、従来は完治が困難であった症状についても治療を行える状態を作り出しています。

再生医療は美容分野でも研究が進められていて、実用として行われているものでは脂肪由来の幹細胞を培養し、点滴などで投与するというものがあります。
脂肪細胞には間葉系幹細胞が豊富に存在しているため、これを専門の施設で培養してから再度体内に戻す事によって、加齢などによって損傷した組織の修復が行われて美容・健康面で優れた効果を発揮する事が判明しています。

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幹細胞培養液、幹細胞培養上清液とは

幹細胞による再生医療としての治療が研究される一方で、「幹細胞培養液」や「幹細胞培養上清液」という言葉もよく耳にするようになってきました。
幹細胞というキーワードが入っている事から混同されがちですが、それぞれの違いや特徴を解説します。

幹細胞培養液は「培養のための液体」

幹細胞を治療で用いる際には、採取した幹細胞をそのまま戻しただけでは何の意味もありません。治療を行うためには細胞を一定の数まで増殖させる必要があります。
この細胞を増殖させる際に用いられる、細胞が分裂を行うために必要な栄養素が豊富に含まれた液体(培養地)が「幹細胞培養液」です。

幹細胞培養液そのものには幹細胞は含まれていませんし、これを直接治療などで使用する事はなく、化粧品などに使われる事もないでしょう。

幹細胞培養上清液は「培養後の上澄み液」

一方で幹細胞培養上清液というのは、実際に幹細胞培養液で幹細胞の増殖を行った際の液体の上澄み液の事です。
上澄み液というと分かり難いですが、幹細胞を培養した後、そこから幹細胞そのものを取り除いた部分と考えて下さい。

幹細胞を用いた研究や治療では、培養によって得られた幹細胞そのものが重要であり、幹細胞が取り除かれた培養液については元々は捨てられてしまっていました。
しかし幹細胞の研究が進められていく中で、幹細胞が増殖していく際には周囲に細胞の活動をサポートする様々な成分を放出する事が判明してきました。
具体的にはサイトカインやエクソソームとよばれる成分などで、こうした成分が有用と分かった事から、現在は積極的に治療に用いられるようになってきています。

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幹細胞培養上清液に含まれる有用な成分について

幹細胞培養上清液には具体的に下記のような美容成分が含まれています。

エクソソーム

細胞同士の情報交換を行う役割があるとされている成分です。
色々な細胞で作られますが、細胞の中にあるmRNAなどを含んで他の細胞に運搬されるため、エクソソームが作られた細胞の種類や状態などによって大きく性質が変わります。
治療などで用いられる場合には乳歯歯髄や臍帯血などの若く健康な幹細胞から得られた物が用いられる事が多く、細胞の修復や、細胞の寿命とも言えるテロメアの延長といった効果が期待できます。

サイトカイン、成長因子

細胞の活動を促進する様々な因子を総称してサイトカインや成長因子と呼びますが、細胞にある受容体に結びつく事などによって、特定の細胞の活動を促進するといった作用を持ちます。
成長因子には様々な種類があるので、代表的なものをご紹介します。

EGF

基底層の細胞と結びついて表皮のターンオーバーを促す成長因子で、角質層の入れ替わりにより様々な美容効果が期待できます。

・シミやくすみの改善 ・毛穴の改善 ・潤いのある健康的な肌質への改善

FGF

真皮層などにある、コラーゲンなどの弾力成分を作り出す線維芽細胞を活発にする成長因子で、エイジングサインの改善などが期待できます。

・コラーゲンの減少によるシワの改善 ・肌にハリを作りタルミの解消

VEGF

血管の細胞の代謝を促し、血管の新生や修復を促す事による効果の他、毛髪の成長期を維持して毛髪の健康的な成長も促す。

・動脈硬化など血管の老化に伴う症状の予防 ・脂肪移植などでの生着率の向上 ・毛髪の育成

化粧品で使用される幹細胞培養液エキスと医療用の幹細胞培養上清液

幹細胞を培養して得られる成分については、医療分野だけではなく美容商材でも多く取り扱われています。

美容液などで用いられるものと医療用のものでは何が異なるのかというと、実は明確な線引きは無く、根本的には同じものです。

違いがあるとすれば製造における品質や管理基準で、やはり治療で用いられる幹細胞培養上清液は直接体内に取り込むものですので、使用する事で得られる効果や安全性が担保されるよう、非常に高い品質の物が多いといえます。
また、管理方法についても化粧品の場合は保存料などと混ざって製品化された状態で流通していますが、治療用の幹細胞培養上清液は添加材などでの保存ではなく、非常に低い温度での冷凍保存などによって管理するなどの管理方法がとられています。

このような違いから、製造過程などについては近い面もありますが期待できる効果や安全性といった点には大きな差がありますので、美容液で使ってみたけれど効果を感じなかったという方も是非一度幹細胞培養上清液を用いた治療を体験してみてください。

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幹細胞培養上清液による治療をご検討される方へ

幹細胞培養上清液を使用した治療を取り入れる医院も増えてきていますが、使用する薬剤や管理方法は医院によって様々で、十分に効果が期待できる所もあればそうでない医院もあります。
城本クリニックでは、数ある薬剤の中から有効成分濃度や製造方法などを比較して治療効果が高いレベルで期待できるものを取り入れ、-80度での超低温保管を行うなど、より良い結果につなげるための対応を徹底しております。

治療方法についても全身のエイジングケアとして有効な点滴投与や、小じわなど局所的なエイジングサインの改善に効果的な水光注射などを使い分け、再生医療分野に精通した医師が最適な治療をご提供しておりますので、治療をご検討の方は是非一度お気軽にお問い合わせください。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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