コラム

COLUMN幹細胞点滴、幹細胞培養上清液点滴の効果やその違いについて

再生医療という言葉が様々な所で聞かれるようになってきていますが、再生医療としても特に今広がりをみせている治療法が幹細胞や幹細胞培養上清液を点滴などによって投与するといった治療法です。
今回はこれらの治療について、主にどのような効果が期待できるのか。
また、混同されやすい幹細胞点滴と幹細胞培養上清液点滴はどのような違いがあるのかなどについて詳しく解説いたします。

幹細胞とは

「幹細胞」という言葉を聞いたことがある方は増えていると思いますが、そもそも幹細胞とは何かというと、一言でいえば「体の細胞を作り出す事が出来る細胞の総称」が幹細胞です。

私たち人間の体は皮膚や髪の毛から内臓、骨にいたるまで全てが様々な細胞によって作られており、全部で約37兆個の細胞があるとされています。(ひと昔前は60兆個といわれていましたが、2013年に発表された論文から37兆個とされています) そして、この37兆個の細胞は日々生まれ変わりを続けており、例えば皮膚(角質)の細胞は基底層という部分で新しい細胞が作られ、約1ヶ月程度が経過すると垢となって剥がれ落ちているように、新しい細胞の形成と古い細胞の排出が繰り返されていますが、この新しい細胞を作り出す役割を持った細胞こそが「幹細胞」と呼ばれる細胞です。

幹細胞は血液などから栄養を受け取って自分のコピーを作る「細胞分裂」によって増殖する能力を持っており、これによって新しく健康な細胞を作り出す事で私たちの体は健康な状態が保たれています。

細胞の入れ替わるスピードは部位によっても異なりますが、皮膚であれば約1ヶ月、血液は4カ月、筋肉であれば半年、一番入れ替わりの遅い骨も3~4年程度で全て入れ替わるとされています。
しかし、年を重ねるなどで幹細胞の働きが低下したり、幹細胞の数そのものが減少していくとこの入れ替わりは徐々に遅くなっていき、体の健康状態が正常に保たれなくなってしまいます。

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幹細胞の中には「多分化能」をもつものがある

細胞というのは体の部位毎に異なる性質を持っていて、皮膚の細胞が血液になる事はありませんし、骨の細胞が内臓の細胞としての役割を果たす事もありません。
つまり、細胞の種類毎にそれを作り出す幹細胞が必要で、例えば表皮の細胞は基底層という所にある「表皮幹細胞」によって作られています。
作られた細胞が他の細胞に変化する事も無く、一度皮膚の細胞として作られたものが爪や血液になる事も当然ありません。

一方で、人の体がまだ受精卵に近い状態においては、細胞が何かしらの役割に限定されてしまっていたら体を作る事ができませんので、それぞれの細胞は限定された機能をもつものでは無い状態です。
ある程度細胞分裂が進んで数が増えてくると骨の役割をする細胞や筋肉の役割をする細胞といったように働きが細分化されてくるわけですが、このように細胞が特定の働きの細胞に変化する事を「分化」といいます。

受精卵はどの細胞にでもなれる性質を持つ事から「全能性幹細胞」とよばれ、また受精卵の培養から得られた細胞も同様にあらゆる性質の細胞に分化できる事から「多能性幹細胞」とよばれます。

そして、この多能性を持つ幹細胞は受精卵から人の体が形成されるまでの期間にしか存在せず、生まれてから体内に存在する幹細胞は限られた種類の細胞しか作る事ができないものと考えられていたのですが、1960年代に骨髄から「間葉系幹細胞」と呼ばれる幹細胞が見つかり、ある程度制限はあるものの多能性細胞のように筋肉や神経、皮膚など様々な細胞へと変化する事ができる「多分化能」を持つ細胞という事が判明しました。
これから多分化能を持つ幹細胞の研究が盛んとなり、間葉系幹細胞は脂肪細胞の中などにも存在する事が判明するなどして様々な治療に使用されるようになってきたのが現在の幹細胞を用いた治療です。

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幹細胞点滴とは

幹細胞点滴とは、文字通り幹細胞そのものを点滴によって体内に取り入れる治療法です。
幹細胞は様々なダメージによって減少していってしまうものであるため、年を重ねると幹細胞の数が減少していき細胞の代謝が低下していく事で老化が進みます。
これを点滴によって補う事で減少してしまった幹細胞を取り戻し、代謝(細胞の生まれ変わり)を正常に回復させる事で加齢に伴う体の不調やエイジングサインを改善していく事が可能となります。

尚、日本では幹細胞の点滴投与を行う際には免疫による拒絶反応などを避けるため、自分自身の細胞で行う必要があります。
そのため、幹細胞点滴治療を行う場合にはまず腹部の脂肪などを少量採取してから採取した中に含まれる幹細胞を培養し、1ヶ月かそれ以上の期間をかけて幹細胞の数が一定以上に増加してからそれを再度点滴などで投与するといった方法で治療が行われています。

幹細胞の増殖はもちろん体内でも日々行われているものですが、専用の施設で効率よく増殖させてから戻す事によって、幹細胞による代謝が低下している部位の回復を促し、高い治療効果を発揮する事ができます。

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幹細胞培養上清液とは

幹細胞を用いた治療と同じように、近年研究が進められているものが「幹細胞培養上清液」を用いた治療です。

幹細胞培養上清液とは、その言葉の通り幹細胞を培養させる際に使用された培養液の上清(上澄み部分)を指します。

元々、幹細胞を用いた再生医療では培養された幹細胞を治療に使用する事が主目的であるため、培養に使用していた培養液は廃棄を行っていました。
しかし、再生医療の研究が進む中で、幹細胞を培養する際にはこの廃棄を行っていた培養液中に細胞の活動をサポートする「サイトカイン」や「エクソソーム」といった有用な成分が豊富に含まれている事が分かり、これを有効活用する形で行われるようになった治療が幹細胞培養上清液の点滴療法です。

幹細胞培養上清液は遠心分離などによって幹細胞そのものは除去されているため、他者の幹細胞を培養して得られたものであっても問題なく使用する事ができます。
そのため治療の際に細胞を採取してから培養する必要はなく、用意された薬剤を投与するだけで行う事が出来るため、非常に手軽に受けやすいという点も魅力となっています。

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幹細胞培養上清液に含まれる有用な成分

幹細胞培養上清液には幹細胞そのものは含まれませんが、下記のような健康・美容面で優れた効果が期待できる成分が豊富に含まれています。

成長因子・サイトカイン

細胞の代謝を促進する性質を持った特殊なタンパク質成分が成長因子やサイトカインと呼ばれるものです。
成長因子には様々な種類がありますが、代表的なものとしてはEGF、FGF、VEGFなどがあります

EGF

EGFはEpidermal Growth Factorの頭文字をとったもので、日本語に訳すと表皮細胞成長因子となります。
表皮細胞とは肌表面の角質層を構成する細胞の事で、EGFが基底層にある表皮幹細胞に結合する事で新しい細胞が作られ始め、肌のターンオーバーが行われていきます。
EGFは20歳頃をピークに徐々に体内での合成量が減少していき、これが肌のターンオーバーを遅らせてシミや毛穴などのトラブルが引き起こす原因となります。

FGF

FGFは日本語で線維芽細胞成長因子の略称で、真皮層内のコラーゲンなどハリを作り出す細胞の活動を促す成長因子です。
EGFと同様、FGFも加齢によって体内で合成される量が減少していき、シワやタルミといった肌老化の大きな要因となっています。

VEGF

血管内皮成長因子の意味で、血管の細胞代謝に影響を与えます。
減少してくると新しい血管の新生や血管の修復が遅くなり、動脈硬化など様々な血管関連の症状が引き起こされてきます。
幹細胞培養上清液を点滴で投与した場合は血管を経由して全身に薬剤が運ばれるため、血管の修復に対する効果は特に高いレベルで期待できると考えられます。

エクソソーム

成長因子と共に高い健康・美容効果が注目されている成分がエクソソームです。
エクソソームは細胞間の情報伝達物質といわれており、細胞の中に含まれるmRNAなどの要素が外部に放出される事で作られる小さなカプセルです。

エクソソームが持つ具体的な作用はまだ研究段階となっていますが、これまでに治療として用いられてきた結果から、損傷した細胞の修復機能や「テロメア」とよばれる細胞の寿命とされる因子を引き延ばす効果などがある事が分かっています。

このように幹細胞培養上清液中にはエイジングケアに効果を発揮する様々な成分が豊富に含まれているため、これを体内に投与する事で老化の抑制や若返り効果を得る事ができます。

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「幹細胞点滴」と「幹細胞培養上清液点滴」は別物

以上のように、幹細胞点滴は培養された幹細胞そのものを使用する一方で、幹細胞培養上清液点滴は細胞の培養によって得られた副産物を有効活用するという治療法ですので、言葉としては似ていますが治療の内容は大きく異なっています。

どちらも体内にある細胞の修復や代謝の促進によってエイジングケア効果を得られるといった点では同じですが、効果が発揮されるまでの流れについては別物と言ってよいでしょう。

どちらの治療法がより高い効果を期待できるのかといった点はまだ研究段階ですので明確な答えを出す事は難しいですが、幹細胞そのものを利用した治療については白血病患者に対する造血幹細胞移植のように明確な治療効果が得られるものとしての実施も多くなっているなど、確実に効果が発揮できたという報告も増えています。

一方で、幹細胞点滴では細胞の採取や増殖といった対応が必要になる事から治療を行うための時間も長く、費用についても安くて数百万はかかってしまう内容ですので、時間や金銭的な余裕が必要になります。
幹細胞培養上清液点滴についてはまだ薬剤の金額が高額であるため、低価格とはいえませんが、点滴の分量によっては数万円程度から受ける事が可能であるように幹細胞点滴と比べれば比較的治療を受けやすく、また治療を受けたい時にすぐ利用できるという利点があります。

どちらの治療についても体の老化を根本からケアしていき、健康な状態を作り上げるという点で非常に優れた効果が期待できるものとなっておりますので、治療に興味を持たれた方は是非クリニックまでご相談ください。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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